福祉行政報告例には4月1日現在と3月1日現在の定員や在籍人数が掲載されている。保育園の定員充足率は年度当初の4月は少なく、9月前後に100%を越え、それ以降は100%以上となることが多い。今回はもっとも充足率が高くなる3月1日のデータを比較した。
1997年以降の3月1日現在の定員、在籍園児総数、充足率の変化は以下の通り。
1990年代は定員割れの状態で、2000年代に入ると定員超過となっている。超過率のピークは2004年ごろで、それ以降は103%前後で安定している。
在籍数と定員は2010年にいったん減少するものの、2011年以降は増加のペースが上がっている。待機児童問題がクローズアップされ、積極的に保育園を増やしていることが分かる。
2014年の定員充足率の全国平均は102.96%で、全国的には定員超過の傾向となっている。県別に見ると47都道府県中34県が100%を越えている。ちなみに同年4月1日の定員充足率全国平均は97.3%で、100%を越えているのは青森県、宮城県、栃木県、群馬県。神奈川県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県の15県となっている。
最も充足率が高いのは宮崎県で119.39%。以下、鹿児島県、熊本県、長崎県、大分県と上位五県を九州が占めている。一方、充足率が最も低いのは長野県で89.47%。これに岐阜県、和歌山県、高知県、山梨県と続いている。
どれぐらいの定員超過を許すかは各地域の裁量であることを考えると、100%を越える定員充足率は地域の需要の違いというよりも、どれぐらい定員オーバーを認めるかの裁量の違いと思われる。一方、100%を下回るところは保育の需要が供給よりも少ないと言えよう。
分布地図を見ると九州と東日本で充足率が高く、これらの地域で保育園の需要が高いと思われる。首都圏を見ると東京よりも周辺部で充足率が高い。東京周辺各県はベッドタウンで子どもが多いためか。
相関ランキングでは、何らかの因果関係がありそうなランキングはないようだ。
共働き率との相関係数は-0.0354で、全く相関がなかった。
焼酎消費量や
肉用牛飼育頭数と正の相関が高いのは九州が上位を占める分布構造が似ているためと思われる。
ちょっと今は忙しいのでしばらくお待ち下さい。