日本では大学において6年間の医学教育が行われているが、医師免許・歯科医師免許を持たない学生は法律的に医療行為を行えないため、大学卒業時点では医師・歯科医師としての実地経験はないに等しい。そのため、診療に従事しようとする医師・歯科医師に対し、免許取得の後に、臨床研修の名で上級医の指導の下に臨床経験を積む卒後教育が制度化された。
医大生らが医師免許を取得した後の2年間、現場で診療経験を積む初期臨床研修で、沖縄の研修病院は東京都に次いで、高い人気を誇っている。特定の診療科だけでなく、幅広い診療科での研修を義務付けた2004年度からの新臨床研修制度は県立中部病院(うるま市)をモデルにしたとも言われ、関係者は「離島県の沖縄では自前で医師を育て確保する必要があった。40年かけてつくり上げてきたシステム」と胸を張る。
県内外から高い評価を受けている中部病院の研修は重症度を問わず、すべての患者を受け入れる同院の救急体制もあり、症例数の多さが魅力。指導医の下、2年目の研修医が入院患者の治療に当たる実務経験も研修医たちを鍛え上げる。
初期研修2年目の反田篤志医師(26)=東大卒=は「長い時間をかけて培ってきた教育システムが魅力。病棟のマネジメントも自分でやる責任がある」とやりがいに満ちた様子。
1年目の渡口真史医師(25)=琉大卒=も「学生の時に実習で来て、医師が熱心だと感じた」と中部病院を研修先として選んだ理由を挙げる。
県内の研修病院で「後期研修」を受けている131人の研修医のうち、半数以上の75人が離島研修を希望していることが、県立中部病院の遠藤和郎医師と尾原晴雄医師が昨年12月に実施したアンケートで分かった。県内では離島勤務医の確保が課題になっているが、離島研修がプログラムに組み込まれているのは1病院しかない。一方で今回の結果は、研修医の多くが離島医療に興味を抱いていることを示しており、こうした研修医を離島勤務につなげる対策の必要性が浮き彫りとなった。
京都大学との関係
大原孫三郎が病院設立に先立って、当時の京都大学総長で岡山の第三高等中学校医学部へ赴任したこともあった荒木寅三郎と基本方針を検討。その後、荒木によって京大医学部から多くの人材が派遣された。それ以来、京大医学部とは密接な関係が続いており、現在でも京大出身の医師が多く、小笠原院長や後述の光藤医師も京大出身である。
医療技術
病院の実績を評価する基準に手術件数があるが、多くの手術分野で中四国ではトップクラスにある。特に、光藤和明(みつどう・かずあき)が心カテーテル治療の分野では有名で、1982年(昭和57年)から1万9千例以上の実績がある。以前、台湾で光藤の治療を受けた李登輝元総統が、再度診察を受けるために、2001年(平成13年)4月、倉敷を訪れたことが全国ニュースで報じられ話題となった。
順位 | 都道府県 | 医師数 | 偏差値 | |
---|---|---|---|---|
総 数 | 人口10万人 あたり | |||
並替 | 北 南 | 降順 昇順 | 降順 昇順 | 降順 昇順 |
1 | 沖縄県 | 286人 | 20.13人 | 78.07 |
2 | 東京都 | 2,457人 | 18.35人 | 72.11 |
3 | 京都府 | 472人 | 18.08人 | 71.22 |
4 | 和歌山県 | 173人 | 17.82人 | 70.32 |
5 | 岡山県 | 308人 | 16.01人 | 64.25 |
6 | 佐賀県 | 133人 | 15.93人 | 63.98 |
7 | 福岡県 | 730人 | 14.34人 | 58.65 |
8 | 福井県 | 113人 | 14.30人 | 58.53 |
9 | 石川県 | 165人 | 14.27人 | 58.43 |
10 | 高知県 | 102人 | 13.82人 | 56.91 |
11 | 島根県 | 96人 | 13.77人 | 56.75 |
12 | 大阪府 | 1,193人 | 13.50人 | 55.84 |
13 | 栃木県 | 251人 | 12.68人 | 53.08 |
14 | 秋田県 | 129人 | 12.44人 | 52.28 |
15 | 滋賀県 | 171人 | 12.08人 | 51.06 |
16 | 愛知県 | 899人 | 12.06人 | 51.00 |
17 | 神奈川県 | 1,094人 | 12.03人 | 50.89 |
18 | 山梨県 | 101人 | 12.01人 | 50.84 |
19 | 長崎県 | 166人 | 11.98人 | 50.73 |
20 | 兵庫県 | 652人 | 11.77人 | 50.02 |
21 | 山形県 | 131人 | 11.58人 | 49.40 |
22 | 香川県 | 113人 | 11.52人 | 49.19 |
23 | 鳥取県 | 66人 | 11.50人 | 49.12 |
24 | 愛媛県 | 158人 | 11.33人 | 48.54 |
25 | 徳島県 | 84人 | 11.00人 | 47.43 |
26 | 熊本県 | 196人 | 10.93人 | 47.20 |
27 | 青森県 | 144人 | 10.90人 | 47.12 |
28 | 三重県 | 198人 | 10.85人 | 46.94 |
29 | 長野県 | 228人 | 10.81人 | 46.81 |
30 | 岐阜県 | 220人 | 10.78人 | 46.71 |
31 | 山口県 | 150人 | 10.65人 | 46.28 |
32 | 北海道 | 556人 | 10.30人 | 45.09 |
33 | 広島県 | 291人 | 10.27人 | 45.01 |
34 | 千葉県 | 630人 | 10.17人 | 44.65 |
35 | 宮城県 | 234人 | 10.05人 | 44.27 |
36 | 富山県 | 107人 | 10.00人 | 44.09 |
37 | 岩手県 | 128人 | 9.97人 | 43.99 |
38 | 静岡県 | 361人 | 9.74人 | 43.23 |
39 | 茨城県 | 281人 | 9.63人 | 42.84 |
40 | 福島県 | 182人 | 9.41人 | 42.10 |
41 | 鹿児島県 | 146人 | 8.75人 | 39.91 |
42 | 大分県 | 102人 | 8.71人 | 39.77 |
43 | 宮崎県 | 97人 | 8.71人 | 39.76 |
44 | 群馬県 | 163人 | 8.25人 | 38.22 |
45 | 新潟県 | 167人 | 7.22人 | 34.77 |
46 | 奈良県 | 89人 | 6.47人 | 32.24 |
47 | 埼玉県 | 427人 | 5.90人 | 30.33 |
全国 | 15,340人 | 12.07人 | ||
単位人口:人口10万人あたり (2014) |