年齢調整死亡率について都道府県別に、死亡数を人口で除した死亡率を比較すると、各都道府県の年齢構成に差があるため、高齢者の多い都道府県では高くなり、若年者の多い都道府県では低くなる傾向がある。このような年齢構成の異なる地域間で死亡状況の比較ができるように年齢構成を調整しそろえた死亡率が年齢調整死亡率である。この年齢調整死亡率を用いることによって、年齢構成の異なる集団について、年齢構成の相違を気にすることなく、より正確に地域比較や年次比較をすることができる。
つまり、各都道府県が全く同じ年齢構成になったとしたら、どれぐらいの死亡率になるかを計算によって出した数値で、数値が高いほど病気などで死亡しやすく、数値が低いほど死亡しにくいことを示している。各年代に死亡しにくければ、それだけ長生きすることになる。
男性10万人あたり年齢調整死亡率の全国平均は544.3人。最も多いのは青森県の662.4人。以下、秋田県、岩手県、和歌山県と続いている。上位10県のうち、4県を東北各県が占めており東北で死亡率が高い。一方、死亡率が最も低いのは長野県で477.3人。これは1位の青森県の3/4弱だ。以前は東日本で死亡率が高く、西日本で低かったが、現在は地域差が小さくなっている。
都道府県別にみた死亡の状況の年次比較男女とも昭和35 年、40 年には西日本に年齢調整死亡率の低い都道府県が多く、東日本に高い都道府県が多くなっていたが、近年は年齢調整死亡率の全国的な低下にともなって、地域差は小さくなってきている。
その理由の一つとして、東高西低傾向のある脳血管疾患の死亡率が、全国的に大幅に低下し、差が小さくなってきていることがあげられる。
相関ランキングでは
ガン死亡者数:男性や
大腸ガン死亡者数:男性と正の相関があり、やはりガンが多い地域で死亡率が高くなっている。
自殺者数:男性とも正の相関があるが、ガンなどの健康問題が自殺の要因となり、結果としてガンと死亡率に相関が表れていると考えた方がよさそうだ。
生活習慣に関係するところでは
男子小中学生肥満率や
喫煙率:男性と正の相関がある。
この他、都市と地方で格差がある
携帯電話普及率や
ブロードバンド契約数、
外国車普及率と負の相関があることから、都市部で死亡率が低く、地方で高い傾向がうかがわれる。東高西低に代わる新たな地域差になるのだろうか。